レジーのブログ(旧)

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THE NOVEMBERS 小林祐介インタビュー(後編) バンドの現在地と進むべき道

司会者「前回に引き続き、THE NOVEMBERSのフロントマンである小林さんのインタビューをお送りします」

レジー「今回はニューアルバム『zeitgeist』(ツァイトガイスト)の話から派生して、小林さんのルーツの話だったり、今のシーンにおけるTHE NOVEMBERSの位置づけだったりについて触れています。それではどうぞ」

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---ちょっと話がそれるかもしれないんですけど、ニューオーダーやファクトリーの話とか、以前の「女性ボーカルのカバーアルバムを作りたい」なんてツイートとか、音楽そのものについての発信を小林さんは積極的にされている気がしていて。




「はい」

---個人的には、今のバンドの人たちってあまり音楽の話を発信していないんじゃないかって感じる部分があって。ツイートも「今日ライブ良かったです」とかだけじゃなくて、もっと音楽の話をすればいいのになあと思うんですが、小林さんが自分のルーツみたいなものを開示していくのは何か考えがあってのことなんですか。

「今は意識してやってますね。反例から話すと、ルーツを明かさない人って自分の出所を明らかにすることで自分の表現が成立しなくなる、暴かれてしまうっていう恐怖だったり、あとは友達のバンドを誉めたらお客さんがスライドしてしまう、共食いになるんじゃないかっていう心配だったり、そういうのがあるのかなと。僕はそういうことにはまったく執着がなくて、自分が影響を受けたものを日常に忍ばせて発信することで一つのきっかけが生まれればいいなと思います。僕が言うから聴いてみようかな、とファンの方に思ってもらえたら光栄ですし」

---さっき共食いっておっしゃってましたが、たぶんそういうことやるのって共食いじゃなくてパイが広がる方向に行くと思うんですよ。

「ほんとそうですよね」

---カバーアルバムはぜひとも聴いてみたいです。

「五輪真弓さんの1stとかすごく好きなんですよね」



---ルーツの話が出ましたが、最初にちょっとラルクの話をしたんですけど、今回こういう機会をいただいたので改めてラルクのアルバムを全作聴き直してみようかと思いまして。

「おお、素晴らしい!(笑)」

---で、ちょっと自分の経験の話になってしまうんですが、99年に『ark』と『ray』が出てますよね。久々に『ark』を聴いたとき、冒頭にシングル曲が集まってる展開がすごいなと思ってテンションが上がったんですけど、99年当時僕はこのアルバムちゃんと聴いてなくて、さっと流してスルーしてたと思うんですよ。なんでだろうなと思ったときに、当時の自分って97年98年あたりに出てきたギターバンド、くるりとかスーパーカーとか、そういう方に熱意がいっていて。

「ああ、なるほど」

---「ラルクってビジュアル系じゃん」みたいなのを勝手に作ってしまって、ちゃんと聴いてなかったなあと。あの時代ってそういう雰囲気というか、音楽好きな人の中で空気としてラルクにアゲインストになっていた部分があったんじゃないかなと思いました。で、今回のインタビューに引き付けた時に、THE NOVEMBERSが置かれている状況ってあの頃のラルクとちょっと近いものになっているんじゃないかなと。今ってBPMが早くてパワーコード主体で拳を突き上げられることが大事みたいな雰囲気がシーン全体を塗りつぶしつつあるような感じがしていて、そんな中でTHE NOVEMBERSはクオリティ高く真逆のことをやろうとしているけど気づいてもらえないというか、そういうような状況になってしまうのではないかということを思ったんですけど。小林さんは最近のバンドの曲も聴かれてると思うんですけど、「ノリ」「一体感」みたいなものがますます重視されていく中で今回のアルバムのような音を鳴らすことに対して、思うところだったり、もしくは「こういう風になってほしい」とか、何か感じるところがあれば教えていただきたなと。

「具体的にこうなってほしいみたいなものはないんですけど・・・聴いてくださる方にとっての豊かさにつながる一つの気づきとかきっかけになれたらいいなと思ってやっているだけではあるんですが。そうですね、たとえばTHE NOVEMBERSのライブに来てくれるお客さんが拳を突き上げないとかそもそも上着を脱がないとかヒールで来るとか、そういう形でライブに来ることを本人たちが楽しんでくれたりそれが自然なんだったら尊重したいというか。そこに関しては時代的に合う合わないとかっていうのは客観的に考えれば恐らくあると思うんですけど、だからどうっていうのは特に考えていなくて。時代にマッチしていこうってことも目的になるとは思えないし、拳を上げる人たちを否定するのは簡単だし自分はそういうことはしないけど、否定する理由にはなっていないというか」

---そうですね、別にそれが悪いことではないですしね。

「まあただそうしない人は今では圧倒的に少数派だし、今の時代の「楽しい」という表現の反対だったりもするので、「動かない・踊らない」ってことが「楽しくない」ってこととは決してイコールではないという問いかけをしているというか。「音楽を聴く」ってことは「音楽を聴かない無音の時間も楽しむ」ってことと裏表だと思うので。曲中の演出だったり、音が止む瞬間を大事にするとか」

---うんうん。

「先ほど出た「ラルクのアゲインストな状況」には僕らはまだ到達できていないと思っていて。ラルクは巨大な存在になったからこそってところがあるけど、僕らはまだ気づかれていない悲しさがあるというか。いっそのこと、THE NOVEMBERSを聴くことがアンモラルであるくらいの巨大な社会現象になったらいいなとか」

---マリリンマンソンのTシャツを着て逮捕されるみたいな(笑)。

「世田谷区では聴けないらしい、とか(笑)。そういう状況になれればなれるほどやりがいは感じますね。単純に自分たちは現状ではわかりにくいところにいると思うし、それを選んでやってきてしまったのは自分たちなんで、そんな現状をいい方向に転がせたらいいなと思います。信念を曲げずにどこまででしゃばれるか」

---今の「もっともっと聴かれていきたい」という話に関連しての部分になるんですが、今作の流通形態(注:THE NOVEMBERS公式通販サイト、ライブ会場、bandcamp、iTunes store、spotify、及びTHE NOVEMBERSがセレクトしたレコードショップ等の小売店のみの販売予定)についてもお聞きしたいと思います。やり方としては「間口を絞る」方向にいっていると思うんですが、純度は高くなる半面「誰しもに知られて、その中でバックラッシュも受けながら大きくなっていく」というところとは少し離れる部分もあるのかなと。そういうことも踏まえて今回の売り方をするに至ったきっかけなどを教えてください。

「意思を持って何かを選んだお店って世の中にたくさんあると思っていて----厳密に言うとどの店もそうだと思うんで一概には言えないですけど、何でもある量販店ではなくて「選び取ったものが置いてある」、そういうカラーのあるお店があるんだよということを単純にお客さんに知ってもらえたら、発見とか出会いになるかなと。そういったお店の意思を、『zeitgeist』を通じて感じてもらえたらいいなと考えています。加えて、お客さんに直接手渡ししたいって言う意思で直販をやったり、海外を見据えてバンドキャンプで出したりとか。これをやるのって独立第一弾でしか説得力がないと思っていて。後でやったらただ規模縮小したってことになってしまうし、だから今しかできないぜいたくをちょっとリスキーだけど楽しもうと。もちろん『zeitgeist』の販売店も徐々に拡げていく予定ではあるんですがまずはここから始めたい、という」

---名前のあるバンドがこういうチャレンジをするのはすごく大きいですよね。THE NOVEMBERSがこれをやることで、他のバンドもこういうことやっていいんだっていう気付きが生まれたら面白いと思います。

「そうですね。一度レーベルや事務所を離れたことで保証やつながりがなくなったと同時にしがらみもなくなったとすごく感じていて。いろいろなことをリセットしたうえで、その状況から改めて選び直すことができるというのが今回の取組みを行ううえでは大きいですね」

---そういうやり方をする中で自分の届けたいところに届きそうだという確信はありますか?単純にリーチが狭くなるという不安もあるとは思うんですが。

「届けたいところに届くかどうかっていうことに関しては、確信はなくて。自分たちの意思を反映させて流通経路を狭くした部分はあるので、そういう意味では届きにくいとは思うんですよ。ただやっぱり作品のテーマ自体が問いかけだったり提案だったりするので、それを態度として出したかった。あれこれ販売経路を網羅して用意するのは何も選べていないというのと一緒ということになってしまうんじゃないかなと。どこでも買えるってだけでたくさんの人が買うわけではないじゃないですか。ある一定のかたまった人たちが散り散りになるだけで」

---それはその通りですね。

「おそらくいろんな企業が努力していることっていうのは販売経路を広くあまねく用意することで取りこぼしをなくそうっていう取り組みだと思うんですけど、それがいい方に転んでる時とそれをやっても仕方ないんじゃないかって思う時があって。その時々にあった方法を考えていくにあたって、今回は作品のテーマとか自分たちの置かれている状況とかを踏まえてこういうやり方をとることにしました。仮に届かないところが多かったとしても『zeitgeist』は今後も売られていくものなので、届かなかったところが多い=世の中は穴場だらけってポジティブに考えることもできると思うし。あまり広まっていないってことはどこに行ったってこれ知らないだろって言えるし、知ってた上で買わなかったら知ってくれてありがとうとしか思わないです」

---今お話を伺いながら、音楽産業は「広くあまねく」みたいなことをやりすぎて、本来はアーティストの人たちが丁寧に作った一つのものが根幹にあるはずなのに、そういう前提を忘れてマスプロダクトになりすぎていたような側面があったのかなと思いました。今回のTHE NOVEMBERSの取組みは、そういうものに対してもう一度音楽を作り手の側に取り戻すとか、そしてそれを届けたい人に届けるとか、そういう「運動」のようなものなんだなと感じました。これをやるうえで今回の作品の「問いかけ」というテーマはマッチしてますよね。これで単に耳触りのいいものだったら「広く売ればいいじゃん」って話になると思うので。

「僕もそう思いますね。パッケージされて値札のついた商品がマスプロダクトとして流通するというのとは別の文脈で、ただ音楽として楽しみたい人にも伝わっていくような、そういう状況を長い目で実践していけたらいいなと思います。どちらにせよ届いているということなので」

---まずは何かしらの形で聴いてもらうっていうところですね。

「そうですね。トーフくんがやってるパッケージを横断して音楽を拡散してる感じとか、やっぱりすごいなと思うので」

---tofubeatsさんの話が出ましたが、活動スタンスや音楽性などでシンパシーを感じる同世代の人はいますか。さっきはの子さんの名前が出てましたけど。

「好きなバンドとか仲良い友人とかはたくさんいるんですけど、その人たちのことを一旦置いておくと、PLASTICZOOMSってバンドとかLillies and Remainsってバンドですね。皆自分たちと同世代で東京にいて、ポストパンク/ニューウェーブとかゴスとか70sパンクとかそういうのを聴いていて、かつファッションとか思想とかのライフスタイルそのものが肌が合うというか。その3バンドで1つの価値観を世の中に提示していって、それについて好き嫌いを言ってもらいたいなあとかって感じてます」





---なるほど。

「あと世代はちょっと若いと思うんですけど、Sapphire Slowsっていう女の子をいいなと思っています。最近女の子の表現するものが形骸化されてきている印象があって。アイドルとかはいろんな文化がクロスオーバーしてクリエイティブだなと思うものもありますけど、女の子のバンドものとかエレクトロとかっていうのが得てして退屈というか、着せられてるというか・・・沢山聴いているわけじゃないけど、そんな印象です。Grimesみたいな流れで、自分でも簡単にベッドルームで音楽作れちゃうっていうのが日本のいろんなところですでに起こってるんじゃないかなと思うので、そういう雑多な状況がもっと表面化してきたら面白いなと思ってます」



---いくつかのバンドの「かたまり」としての見え方も、リスナーにきっかけを提示するうえでは大事ですよね。THE NOVEMBERS聴いてる僕の友人も聴き始めたきっかけはTOMOEのツアーだと言っていました。

「ああ、People In The Boxとtacicaの」

---はい。そういう価値観の近いバンドの組み合わせが見えてくると、もっと広がっていくのかなと思います。

「そうですね。tacicaとピープルは5、6年来の盟友というか。今となっては枝分かれしてそれぞれが別々の表現のフィールドで活躍しているのが面白いなと思います」

---ちょっと前にGalileo Galileiの尾崎さんがTHE NOVEMBERSのことをいいって言ってましたよね。

「あれは嬉しかったですね。雑誌で機材紹介やってるのを見てこの人たちはもしかしてものすごく凝ったことをやってるんじゃないかって思って聴き直したら、日本でポップな音を鳴らすってことを念頭に置きながらも「音楽性がすごく高いな、研究してるんだろうな」っていうことをやっててすごくシンパシーを感じました。彼らはOGRE YOU ASSHOLEみたいに、地元に帰ったことで独自の進化を遂げていくんじゃないかなと思ってます」

----わかりました。では最後に改めて、今回の作品について言い残したこととか強調したいこととかありましたらぜひ。

「そうですね、THE NOVEMBERSのイメージがある人ない人両方いると思うんですが、まずは聴いてもらって、好きとか嫌いとかどうでもいいとか思ってほしいです。それ以上のことはないですね」

---ありがとうございました。

「ありがとうございました!」

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司会者「インタビューを終えていかがでしたか」

レジー「そうですね、ご自分の言葉を持ってらっしゃる方だったので話していて楽しかったです。音楽に対する愛情もしっかり伝わってきたし。今回は作品の話だけじゃなくて、こういうシーンの状況でバンドとして何をしていこうと思っているか、そのときに仲間というか精神を共有できるような人たちはいるのか、みたいなことを聞きたかったので、そのあたりについても詳しく聞けて良かったです。流通のやり方も含めて、今回のアルバムがどういう形で浸透していくのか楽しみに見守っていきたいと思います」

司会者「小林さんのルーツについてはこちらの記事にも詳しいので合わせてご参照ください。では次回はどうしますか」

レジー「そろそろ年間ベストの季節に突入する感じなのですが、できればもう1回くらい違うネタやりたいな。まとまり次第って感じで」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
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