レジーのブログ(旧)

15/4/23 昨今の諸々を踏まえて移管します。詳細は最新記事をご確認ください。ブックマークいただいていた方は変更をお願いします!

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

連載「音楽で食わずに、音楽と生きる」 case3 会社員×アーティストメディア編集者

レジー「連載「音楽で食わずに、音楽と生きる」ですが、今回が最終回です。企画の趣旨およびこれまでのケースについてはこちらでご確認ください」

前口上
case1 会社員×音楽ライター
case2 会社員×バンドスタッフ

司会者「ライターやアーティスト活動のサポートなど、ミュージシャンではない形で音楽業界に関わりながら一方では会社員としても働いている方々の「二足のわらじ」生活について紹介する企画ですね。3人目としてご登場いただくのは、アジカンのゴッチが発行している「The Future Times」(以下TFT)に編集者として関わっているスズキエミリさんです」

レジー「ゴッチソロかっこいいよね。長く聴けそうな感じ」





司会者「TFTは4月15日に6号が発行されます

レジー「エミリさんとは音小屋周りの人たちと知り合う中でなんとなくつながりを持つようになったんですが、仕事をしながら若い人たちとも交流しつつ自身の発信活動を行っているところにシンパシーを感じています。年齢も同じだったりするので」

司会者「TFTと音小屋をきっかけとして、音楽周りの情報発信もいくつかされていますね。「Music Bungalow」という紙メディアを発行したり、ドリルスピンでコラムを書いたり。この「紙の編集という呪縛 ~紙のウェブ化ではない新しいかたちとは?~」は話題になりました」

レジー「こういうのとかは「音楽業界」との良い距離感の表れだよなあなんて思いました。今回のインタビューでは同世代の昔話から始まって、自分の仕事に「音楽=好きなもの」をどうやって持ち込んでいくかみたいなネタを中心に話をしていただきました。それではどうぞ」

---


---僕はエミリさんと同い年なので当時の就活、2003年の春くらいの空気感は共有できていると思っているんですけど、あの頃って今よりも「音楽ライターになる」とか「音楽業界に入る」とかって気軽に言いづらかった雰囲気があった気がします。

「そんな感じはありましたよね。音楽ライターって話で言うと、そもそもウェブ媒体が今ほどなかったから書ける場所も限られてたし」

---紙メディアが全盛でした。

「雑誌は大学入る前から大好きで、それこそロッキング・オンの出してる雑誌とかもちろん読んでました。鹿野さんがBUZZからJAPANに行って、あとはスヌーザーもクッキーシーンもあって、なんていう時代で。そういう業界に飛び込むって選択肢もあったのかもしれないけど、なんとなく閉じた世界のように感じて怖気づいてしまって。で、当時は今以上に広告が流行ってて」

---流行ってましたよね。スタークリエイター時代。

「箭内道彦さんとか佐藤可士和さんとか、あの辺の人たちが独立してみたいな時期だったから、「文脈を作る仕事」って観点で考えると広告周りはいろいろできそうだなと思って。そんなことを感じながら広告会社をいくつか受けている中で、名古屋に本社がある代理店に受かりました。自分は神奈川出身で東京の大学行って、田舎もなくてって感じなのでどこか全然違うところで暮らしてみたいっていう思いを持ってたこともあり、直感的にその会社に行くことを決めました。私は2004年入社なんですけど、仕事始めたころは愛・地球博で名古屋が盛り上がりつつあったタイミングでした」

---あー、なるほど。

「その会社ではウェブメディアの仕事とかをしてましたね。業務外のことで言うと、名古屋でも東京にいたときと同じように音楽とか本とか自分の好きなものがある場所を探しながら暮らしていました。今池のHUCK FINNとかTokuzoとかのライブハウスに行ったり。the ARROWS やSoulkids、あとは24-two four−も見ました。そんなこんなで4年目になったんですが、会社としてはなかなか東京に戻してくれる気配がない。そろそろ別の地方に行くとか、地元の湘南に帰りたいとかそんなことを漠然と考えていた矢先に、今の会社が「湘南スタイル」っていう雑誌を出しているのを知って。ニッチで面白いかなと思い受けてみたところ採用いただけたので、そこに移ることをふわっと決めてしまいました。今では広告よりも編集の仕事の方が長いですね」







---そういう仕事をやりつつTFTの編集にも継続して関わってるわけですが、きっかけは何だったんですか。

「ちょうど震災をまたぐくらいのタイミングで当時やってた雑誌の別冊としてフェスの本を作っていて、その中でゴッチさんとかトシロウさんとか「自分でフェスを作っているアーティスト」のインタビューをいくつか企画していて。ゴッチさんには震災後にインタビューして、この先の音楽の役割とかそんな話をしたんですけど。無事にその本はできたんですが、そのくらいのタイミングでゴッチさんが新聞を作りたいみたいなことを言い始めてたんですね。すごくいいアイデアだと思ったので「ぜひやってください」という形でコンタクトをとったら、向こうはすでに私のことを編集の人として認識していたから、「もしかしたら作るときには力を貸してもらうかもしれません」みたいな感じになり、その1週間後には「みんなで集まって会議をしよう」と話が進みました。それが5月のあたまくらい。で、そのまま作りましょうという流れになりました」

---会社の仕事で知り合ったことがTFTにつながっていったわけですね。

「そうですね。あのタイミングは絶妙だったなあと思うし、これはやった方がいいんだろうなって状況がそう思わせたって感じです」

---エミリさん以外のメンバーも本業の仕事を持ちつつって感じなんですよね?

「はい。当時集まったメンバーは「何かしなきゃ」っていう熱をみんな持っていて、でも自分はジャーナリストでもないから仕事で継続的に何かをするのは難しいってそれぞれが思っている状態でした。ゴッチさんの初動に反応した人たちと今も一緒にやってるわけで、不思議な仲間ですよね」

---普段はどのくらいの作業負荷がかかってるんですか?

「そんなにめちゃくちゃ忙しいってわけではないです。年2、3回出せればって感じなんですが、その前後が少し大変なくらいで。会社の仕事がパツパツな時と重なると時間のやりくりが大変で徹夜みたいなこともないではないですけど、まあ他のことでも徹夜することはあるから一緒ですよね(笑)」

---TFTの活動に関してはお金は発生していないんですよね。

「そうですね。だから仕事とは全然思ってないです。いろんな人の善意だけで成り立っているのがすごいなあと中にいながらも思います」

---なるほど。仮にお金が発生したとして、そっちを生活の主体にしていくイメージってわきますか?

「TFTは・・・あれはある種の社会実験としてやってるので、そこにお金が発生するってのが考えづらいですね。たぶんないと思う」

---質問を変えると、TFTってど真ん中で音楽の話をしているわけではないけど、音楽(ミュージシャン)を介したメディアではあるじゃないですか。で、現状自分の食い扶持を稼いでいる仕事は音楽から多少は距離があると思うんですけど。TFTをやってみて、音楽により近い領域で飯を食いたいとかそういう思いが新たに沸いてきたりはしないですか?

「そうですね・・・そもそもTFTをやる前からフェスの本を作ったり、自分がやっていた媒体のイベントにアーティストを呼んだり、意識的に音楽と絡めたことはしていたんですよ。たとえばNabowaのメンバーと一緒に山に登ってそこでセッションして曲を作ってもらうなんてことをやって。それを誌面で記事にし、その曲のタイトルをウェブで募集したりとか」



---へー。

「個人的には、既存の音楽ライターになるとかA&Rになるとかじゃなくてそういうことをしたいんです、どっちかというと。この企画はバンドのプロモーションにもなるし、逆にNabowaファンの人が山のことを知るきっかけにもなるはずだし。だから「音楽により近い領域で仕事を」という気持ちはありますが、自分の中ではそれは「音楽メディアに行きたい」というようなことではなくて、TFTの活動で得たこと、それこそ音楽業界の現場感、「できることとできないこと」「まだ誰もやってないんだけどアーティストが実はやりたいと思っていること」みたいなことに関する肌感覚なんかも含めてなんですが、そういうものを自分の本業の中に取り込んでいこうという側面の方が大きいです。自分の“好き“を少し仕事に持ち込んでみることで、会社の仕事でできることの幅が広がっているって感じなんですよね」

---「食うための仕事」と「好きなもの、やりたいこと」をうまく融解させるという感じですね。そういう思考になったのは働き始めてからですか?

「仕事する前はそんなことは考えてなかった気がするなあ・・・あとは、インターネットの存在が大きいですよね。「働き方の多様化」とか「小商い」とか、ネットのあり方をベースにしてそういう動きが最近すごくたくさん出てきてるじゃないですか。少なくとも私は学生の時にそんなこと考えられなかったです。今みたいにインターネットが一般的に普及した世の中だったら私ももうちょっと気軽にいろいろやってたかもしれないけど」

---なるほど。ところで、エミリさんは音小屋(注:鹿野淳による、音楽メディア人養成学校)に二期生として参加していたわけですが。

「はい」

---エミリさんのような「純然たる音楽業界の人ではないけど、自分の仕事の領域を音楽に意図的に接近させるような働き方をしている人」から見て、「「仕事」としてのイメージはぼんやりしているけど何となく「音楽ライターっていいな」みたいなことを思ってる若い人」に対して、キャリア的な観点から何か感じたことがあれば教えていただけると。

「うーん・・・ちょっと話それちゃうんですけど、私が行った期は社会人が比較的多かったんですが、それでも社会人少ないなっていうのが最初の印象で」

---あー、はいはい。

「とってる側の意図もあるからわからないですし、音小屋の参加状況だけでどうこう言える話でもないですけど、会社で働いていてそのうえで何かを求めてやってくる層っていうのがもっといるんじゃないかなあなんて思っていたので。自分みたいな動きをする仲間を求めていた部分は結構大きかったんです。若い人に対して・・・とか以前に気になったのはそっちですかね」

---社会に出た人がもっと仕事以外のことやったらいいんじゃね?ってのは僕もすごく思います。「いやーもう仕事してるんで」って言って何もしない人たちは多いし、そういう人が世の中つまらなくしてると本気で思っていて。

「以前レジーさんのそんなツイート見ましたけど(笑)、それは間違いないですね。「大人が音楽を聴き続けられるようにする」みたいなことについては、自分のような人間が動かないといけないという使命を少しは感じています。普通の人よりは熱量がどうやらあるらしいので(笑)、多少身を削ってでも何かしらそういうことをやりたいとは思ってますね。例えばですけど、夜遅い時間から始まるライブを企画するとか」

---いいですね。レイトショーくらいの感じで見たいです。

「ビルボードの21時半からの回があるとかはいいと思うんですけど。だって19時半でも辛いじゃないですか。既存のライブハウスだと難しい部分もあるのはわかっているから、最近はそうではない空間でやってるイベントとかに興味があったりします」

---そういう発想も普通の会社勤めをしたからこそ生まれるものだったりもしますよね。

「うん。まともに働いてるからこそ、この時間のライブに行けない人がこれくらいいるとかわかるわけで。そういう意味で言うと、音楽業界に憧れてる大学生とかに対して思うのは「既存の「音楽業界」に今いろんな問題意識を持っている若い子が真正面から入っても、何か影響力をすぐに行使できることは恐らくあんまりないんじゃないか」ってことですかね・・・」

---重いですね。でもそうだろうなあ。

「やっぱりその場の空気に倣わされますよね。これだけ音楽業界に対していろんなことが語られているのにそれでもレコード会社とかそういうところに入りたいっていうのは、あまり深い問題意識は持ってないのかなあとも逆に思ったりします。ライターにしたって、ロッキング・オンですら会社自体はフェスありきじゃないですか。JAPANで書いてるから云々みたいな媒体の力はもはやなくなってる気がするし、何に憧れてるのかが正直わからなかったんですよね。それは今でもあんまりわからない。そういうところに行くのであれば、外から変えていくとかの方がよほど早いし面白いかもとは思います。でも、これは自分が既に働いているからこそ思うことなんでしょうけどね。きっと学生の方が聞いたら「じゃあどうしろっていうんですか?」ってなっちゃうとは思いますが」

---なるほど。

「もちろん外からアプローチするゆえの大変さはありますけど、それを乗り越えるたくましさみたいなものは今の時代は必須なのかなとは思います。今後何かをやるうえではインターネット上での発信は避けて通れないと思いますけど、その段階でも絶対求められるし。いろいろダイレクトに来ちゃうから」

---そうですね。ほんと叩かれますからねいろいろ。

「(笑)。いや、ほんとにあれは・・・」

(しばらくインタビュー近辺にあったツイッターでのいろいろな出来事に関する雑談)

---ありがとうございました。とりあえず、メインメッセージは「たくましく生きよう」ってことで。

「そうですね(笑)。冗談抜きに、ほんとにたくましく生きないといけないと最近思います。体力大事ですね(笑)。あとは、ナイーブになったりこれは自分じゃなくて誰がやるべきみたいなことを言いだすのが今の時代一番バカバカしいというか」

---「あそこに行かないとこれができない」みたいなことでもないですよね。

「やればいいじゃん!って時代のど真ん中に今私たちは立ってるんだろうなと。でも早くやらないとそういう時代は終わっちゃうよっていう」


---

司会者「何か感想などあれば」

レジー「たくましさ大事ってのはほんとそうだなあと最近つくづく思いますわ。エミリさんの事例は本業のスキルやそこで培った人脈をダイレクトに活用して会社の外でも活躍してるってケースですが、そこにとどまらずに「会社の外で得たことを、さらに会社の仕事に持ち帰ってくる」っていう循環を作ってるんですよね。そういう直接的なリンケージを作れるかどうかってのは業種にもよるけど、こういう心掛けは大事だなと感じました」

司会者「これで3人分のインタビューを終えましたが、この連載全体を通してについてもお願いします」

レジー「お三方とも共通してたのは「所属するとかじゃなくて、自分主体でやりたいことをやる」っていう考え方でしょうか。ここには僕もすごく共感します。あとは皆さんバランスがいいですよね。「音楽業界」を絶対視しないというか、自分の立ち位置を定めたうえでそこからどうアプローチするか、みたいな発想が根底にあるなあと思いました」

司会者「今の自分の働き方もしくは将来の自分の働き方をイメージしながら、前口上と3人分のインタビューを改めて読んでいただきたいですね」

レジー「通しで読むと何かしらインスパイアされる部分があるんじゃないかと思います。というわけで、この連載はこれにて終了ということで。最初は友達紹介くらいの感覚でひっそりやる企画になると思ってたんだけど予想外に反響あったね。お忙しい中ご協力いただいたみなさん本当にありがとうございました。もし機会があれば続編とかスピンオフみたいなことやりたいです」

司会者「わかりました。では次回はどうしましょうか」

レジー「そうですね、パスピエの新曲についてやるかなー。ちょっと考えます」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
スポンサーサイト

トラックバック

トラックバック URL
http://regista13.blog.fc2.com/tb.php/124-f1b33972
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。