レジーのブログ(旧)

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「ロック」を崇拝し「アイドル」を侮蔑する人々

レジー「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」

司会者「年末年始はどう過ごしましたか」

レジー「例年通り、年末は紅白見て、元日は国立に天皇杯行きました」

司会者「柏レイソルがガンバ大阪を下して優勝しました」

レジー「いやー素晴らしいね。いい新年になりました。去年はACLの試合見に行けなかったので、今年は1試合は行きたいね。さすがにアウェーは無理だろうけど」

司会者「紅白はツイッターしながらがっつり見ましたね。特に印象に残ってるアクトがあれば」

レジー「今回はやっぱり美輪さんでしょう。ももクロも泣けたし、Perfumeもすごかったね。あーちゃんが一箇所とちってたけど。あとはゴールデンボンバーか。あの演出インパクトあったね」

司会者「「女々しくて」もすっかり定着しましたね」

レジー「あの曲はサビ前で楽器置くところ何回見ても笑っちゃうんだよなあ」

司会者「そのゴールデンボンバーですが、直近のJAPANにインタビューが載ってます。タイトルが「ゴールデンボンバーはロックの破壊者か、それとも革命家なのか?」ってなってるんですけど」



レジー「相変わらず威勢がいいですね」

司会者「読みましたか」

レジー「読みましたよ。なんか「JAPAN型批評」の限界というかうすら寒さというか、そういうものがすごくわかりやすく感じられる素晴らしいテキストだったなあと。まずリード文からこれですよ」

(前略)「弾く(弾ける)/弾かない(弾けない)」とは別の次元で、ゴールデンボンバーはどう考えてもロックバンドなのである。それは、簡単に言えば彼らが既成の概念やあり方に真正面から疑問をぶつける存在であり、しかもそれをあくまでポップなものとして表現する存在だからだ。

司会者「本気ですかね」

レジー「本気みたいです。このスタンスだから、やり取りもあんまり噛み合ってない。「自分らマジでロックバンドだね!ふぅー!」「いやいやいやいや(苦笑)」みたいな不思議な感じになってます」

司会者「別にロックバンドかどうかとか関係なく面白くて新しいことやってる人たちってことじゃだめなんですかね」

レジー「「ロックバンドである、それゆえ素晴らしい」っていう謎な論理がベースにある気がします。で、さらにそれが先鋭化すると「ロックバンドじゃないものはダメだ」という話になる。この手の「無根拠な何かに支えられた排他性」って、いわゆる「邦ロック」界隈にいる人たちから日常的に感じられるんですよね。ミュージシャン、ジャーナリズム、リスナーそれぞれの場所から」

司会者「年末には象徴的な出来事がありましたよね。DOESの方とか」




レジー「このツイートのズレっぷりはびっくりした。アイドル聴いてる人より「ロック聴いてトガってる」人の方がかっこいいらしいですね」

司会者「「ロック聴いてトガってる」ってなんですかね」

レジー「よくわからんけど、少なくとも通常版と銀魂版の2種類リリースなんて「アイドルみたいなこと」やってる人たちは「トガってる」人が聴くロックには含まれないだろうね」

司会者「あとはRIZEの方ですか」




レジー「これもよくわからんな。「本気で目指してるもの」ってなんだろう」

司会者「「ゴールデンボンバーはロックバンドだ!」なんて書いてある雑誌を読んだらどう反応するんでしょうか」

レジー「最近JAPANにRIZE載ってるのか知らないけど、ぜひ直接抗議してもらいたいところです。この2つの件で思うのはね、「アイドル」とかそういうものを批判するミュージシャンの方々は「俺らロック」「だからアイドルより上」っていうのを考えのよりどころにしてるよなあというところです。何で無邪気にそう思えるんだろうか」

司会者「「他の音楽も良いけど、中でもロックは素晴らしい」ならわかりますけどね」

レジー「それは全然良いと思いますよ。自分たちのやってる音楽に誇りを持つべきだし。でもそれがなぜか「ロックは素晴らしい、だから他はクソ」になっちゃうんですよね。で、最近は活況を呈してるアイドルシーンがやり玉にあげられやすいと」

司会者「一方で「ロックとアイドルの邂逅」みたいな話もたまにありますよね。たとえば最近では東京女子流がBase Ball Bearと対バンして、女子流の曲である「ヒマワリと星屑」をセッションしました」



レジー「この絵はすごい美しいですよね。小出さんが女子流好きで、今度曲提供もすると。2つのシーンの素晴らしい交流です。では、このライブのフロアではどういうことが起こっていたのか。フォロワーさんの方から聞いたり行った方のブログ見たりしたんですけど、集まった情報がこちら」

・女子流のステージのときにベボベファンの子が最前でおとなしくしててきつかった
・ustで見てたら、ベボベファンが女子流の出番中ずっと「ベボベまだー」とか「女子流長い」ってコメントをストリームに流してきててマナー悪いなと思った
・セット転換中にどっちが目当てかをアンケート→7割が「ベボベ」、「女子流」と「両方」が残りの半分ずつ


司会者「全然交流が起こってないですね」

レジー「あくまでも一部の方の意見ではありますが、さっきあげたDOESやRIZEの方々と似たようなメンタリティがリスナーサイドにもあるのかなあと。アイドルは眼中にないというか」

司会者「何が原因なんですかねえ」

レジー「それを考えるネタとして、最近アップされた鹿野さんと柴さんの2012年総括対談を紹介したいんですけど」

司会者「あの対談、アイドルについてもいろいろ語ってましたね」

レジー「突っ込みどころ満載なんですが一個ずつあげるとキリがないので割愛。で、特に気になったのは鹿野さんのこの発言です」

アイドルのアーティスト化がなされるか/なされないかっていう論点が、2013年の中には少なからずあるんじゃないかと思うんだけど。たとえばアイドルとはちょっと違うけど、たとえばケミストリーが活動休止してそれぞれがソロプロジェクトを始めていて、それって、ポップスをやってきた人達が震災以降に自己表現を音楽と活動に表していくんだっていうことを考えていったことの、ひとつの証みたいなものだなと思うんだよね。となると、アイドルだから歌謡曲だからポップスだから、自己表現をしてなくても、アーティストじゃなくてもいいのかどうか、操り人形でいいのかどうかって言うと、まぁみんなアーティストになりたがっている時代だと思うんですよ。

司会者「アイドルのアーティスト化。「操り人形としてのアイドル」から「自己表現をするアーティスト」になるべきではないのか、時代はそれを要請しているって話ですかね。ケミストリーのソロ活動では2人とも作詞作曲に関わってます」

レジー「そうですね。まさにその2つが今回の大きなテーマである「ロック礼賛・アイドル蔑視」についての大きな論点だと思うんですけど。まず1つ目が、ほんとにアイドルは「操り人形」なのか?って点ね」

司会者「はい」

レジー「ここに対する疑義は2つあって、まずはステージでパフォーマンスをすることへのリスペクトの欠如。ステージで自分を自由に表現するのはどんなエンターテイメントでも同じです。「振付が決まってる」とか言うかもしれないけど、そんなこと言ったらロックバンドだって大半のケースでは自分の演奏パート決まってるからね。もう1つがメディア環境への配慮のなさ。最近のアイドルはエゴサーチだってするわけで、自分を客観視せざるを得ない状況に置かれてるわけですよ。また、握手会に代表される「ファンとの接触」を通して自分のキャラを発見し、活動にフィードバックしていく。こういう人たちを「操り人形」と呼べるのか」

司会者「活動が画一的とかそういう話ならば大抵のメジャー資本のミュージシャンが「操り人形」になりますね」

レジー「そう。というわけで、「アイドルは操り人形だ」なんて決めつけはあまりにも無力・無意味。で、2つ目が「自己表現」という話です。鹿野さんの発言は「操り人形<アーティスト=自己表現をする」って構造になってますよね。じゃあ「自己表現をする」ことが本当に偉いのかって話なんですけど」

司会者「「自己表現をする」ことでいい作品が生まれるかどうかですよね重要なのは」

レジー「そういう観点で考えた時に、名のあるミュージシャンからすでに警鐘が鳴らされてるんですよ。2つあるんですけど、まずはユーミン。自分の番組にゲストで出演したあややが「作詞をしたい」と言ったときのやりとりです。まさに「アイドルのアーティスト化」って話ですね」

松任谷:いやぁ、厳しいこと言うようだけど、妙にしない方がいいよ、作詞とか。

松浦:えぇ、そうなんですか?

松任谷:うん、その方(注:もらった歌詞を自分なりに消化して歌っている)がカッコいい。人が書いてきたものを、自分のものにしちゃって歌えるっていう方が素晴らしいと思う。

松浦:えー、そうですか?

松任谷:悪いけどなんか、あとで詞を書き出したんです、みたいな、で「アーティスト」みたいなふうに言われてる人のろくな詞ないもん。

松浦:(笑)

松任谷:だから、曲とか詞を書くっていうのは、もう生活、生理、いっしょだから、食事したり歩いたりすることと。言われる前から書いてるのよ、人が止めようと、勧めようが、勧めまいが。自分の欲求として、もう幼い頃から作っちゃっている。もちろん、ある日突然、書きたくなって、自分で書いたものを、自分の言葉を歌いたくなって、ひらめいちゃって、ってことはあるかもしれないけど、書いて歌うようになりたいんです、って言っているようだったら、書かない方がいいと思う。だって、同じだよそれは、人が作ってきたものでも。ためを思って作ってきてくれたんだから、あややはこうだ、って。それを表現できることの方がスゴイと思うね。


司会者「これは重みがありますね」

レジー「安易な自己表現ダメゼッタイってのを明確に言ってますね。歌詞を書いたからその人の生き様が表れるというわけでもないよと。ほんとそう思います。次に寺岡呼人さんが植村花菜さんのサイトに寄せた文章

そもそも、僕はシンガーソングライター至上主義に疑問を持ちはじめている。
何でもかんでも「詞曲」を本人で、というのは、いい側面もある反面、一人よがりになりがちで、リスナーにうまく届かないリスクもあると思う。70年代の分業制、プロデューサー、作曲、作詞、歌手、といったものの方が、結果的に後生に残るようなものを作ってる気がしてるのは僕だけだろうか。


司会者「ユーミンと同じようなことを言ってますね。純粋に作品のクオリティについて考えると「自己表現」をすることは必ずしもいいことではないと」

レジー「自然に考えればそうですよね。その道のプロが集まって作ったものの方がクオリティが高くなるのは当然ですよ。アイドルなんてまさにその構造ですよね。でもなぜかその構造は良くないものとされて、「アイドルも「自己表現」の時代へ!」とかなっちゃうわけです」

司会者「なぜなんですかねえ」

レジー「結局「生き様の発露」みたいなものが絶対視されてるんですよね。「音楽として」って話じゃないんですよ。で、「生き様が反映されるロックと工業製品としてのアイドル」みたいな構図を読み込んで、ロックを崇拝してアイドルを低位に置くと。ほんとくだらないよ」

司会者「「生き様の発露」ってのは「個性が大事」とかそういう話につながりますかね」

レジー「そうなんですよ。たぶんこの問題は「自分探し」とか「本当の自分」とかそういうところに接続されていくネタなんですよね」

司会者「話が大きくなりそうですね」

レジー「音楽ジャーナリズムの言語と自分探し問題。何かあるとは思いますが一旦置いておきます」

司会者「長くなってきたのでそろそろまとめていただけると」

レジー「はい。ゴールデンボンバーのJAPAN記事、RIZEとDOES、女子流とベボベ、鹿野さん柴さん対談、これらの事例から読み取れるのは「ロックバンド=自作自演=本気で自分を表現し、既成概念と戦っている=素晴らしい」「アイドル=操り人形=“オトナ”の言いなりで自分を表現できていない=ダメ」みたいな構図がミュージシャン、ジャーナリズム、リスナーそれぞれにいまだに根付いているということです。そしてその構図は現実と大きくかけ離れたものであると」

司会者「はい」

レジー「この構図って、実は音楽の話をしてないんですよね。だから僕が言いたいのはシンプルで、こういう幻想というかファンタジーから離れてもっと音楽の話をしようってことですね」

司会者「至極当たり前の話のような気もしますが」

レジー「でもこれって全然当たり前じゃないんですよ。たとえばさっきのケミストリーの話だって、別に自己表現云々はほんとは重要じゃなくて、ソロ曲が「You go your way」よりも素晴らしい歌なのか?って論点が出てくるべきでしょ。「音楽としていいものを作る」っていう目的に関しての議論が出てこないんですよ現状では」

司会者「そこについては新しい論法が全く出てこないですよね」

レジー「まだ誰も答えがないところですね。せっかくこういう場を作ったので、自分なりに考えていければなと思っています」

司会者「わかりました。結構なボリュームになったのでそろそろ終わりましょう。いつもより長いですよ」

レジー「まあ新年一発目の決意表明ということで」

司会者「では次回はどうしますか」

レジー「んーどうしようかな。年末の流れで洋楽の話するか、全然違う話するか。ちょっと考えます」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」


※反響をまとめた感想戦はこちら
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