レジーのブログ(旧)

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焼け野が原になる準備はできていた - 「2007年」の音楽シーンに何が起こっていたか?

司会者「先日アップしたトライセラの中野サンプラザ公演に関する記事ですが、回りまわってバンド関係者の方にも読まれた模様です」

レジー「関係者も何も、あの記事に関するツイートがバンドのオフィシャルアカウントとベースの林さんからRTされてたからね」

司会者「ご本人直々に」

レジー「ほんと恐縮です」

司会者「柴さんの紹介、もしくはそれをRTしたダイノジ大谷さん、いずれかの経路ですねおそらく」

レジー「ありがたい話ですわ」

司会者「そんな感じでお世話になっている柴さんですが、先日ブログでこんな記事をあげていました」

僕らは「サード・サマー・オブ・ラブ」の時代を生きていた

2007年に、何が始まったのか。ニコ動とボカロと、あの場にいた10代に、何が起こっていたのか。それは、ひょっとしたら「サード・サマー・オブ・ラブ」のようなものだったんじゃないだろうか?

レジー「iPhone、USTREAM、ニコニコ動画、初音ミク、soundcloudなど様々な商品やサービスが始まった2007年を、1967年の「サマー・オブ・ラブ」、1987年の「セカンド・サマー・オブ・ラブ」に引っ掛けて「サード・サマー・オブ・ラブ」と呼べるのではないか?という問題提起です。「サマー・オブ・ラブ」は20年周期でやってくる、3度目の舞台はインターネット上だった、というのが論旨ですね」

司会者「そして過去2回と同じように終わっていってしまった。でもやはり過去2回がそうであったように、ここで生まれた遺伝子がこの先刺激的な動きを形作っていくだろう、と。詳細はぜひ本文を読んでみてください」

レジー「わりと好意的に受け止められてる感じですね」

司会者「お、何か含んでますね。また洋楽論のときみたいに噛みつきますか」

レジー「いやいや、そういう話ではなくてね。2007年にエポックメイキングなサービスがたくさん生まれたのは事実なわけで、こういう出来事が革新的だったことは間違いないですよね。ただ個人的に思うのは、ニコ動にせよ初音ミクにせよ基本的にはドメスティックな動きなわけで、これまでの「サマー・オブ・ラブ」と並べて語るのはどうなのかなあと」

司会者「柴さんが「何年も前に同じこと言われてた!」と紹介していたブログにはこんな感じで書かれましたね」

もしかしてこれはサマー・オブ・ラブなのではと、勝手に考えているのだ。グローバルにみてサードなのか、ドメスティックにファーストなのかはともかくとして。

レジー「この感じの方がしっくりくるな」

司会者「いずれにせよ、日本のシーンにとっては2007年にとても重要なインフラ整備が行われていたということになりますね」

レジー「うん。で、水面下では先ほどあげたようなサービスインフラの胎動が聞こえてきた2007年というタイミングで、メジャーフィールドでは何が起こっていたのか?という話をしたいんですけど」

司会者「ちなみに2007年はどんなの聴いてたんですか」

レジー「年末に発表した私的名曲ランキングの2007年版でどんなの選んでたかなあと思って見直してみたらこんな感じでした」

1. GOLDEN WEEK/□□□
2. 三日月サンセット/サカナクション
3. SNOWDOME/木村カエラ
4. 瞬間描写/サンゼン
5. チョコレイト・ディスコ/Perfume
6. 指先/GRAPEVINE
7. Summer Groovin'/UNCHAIN
8. 言葉はさんかく こころは四角/くるり
9. 世界が終わる夜に/チャットモンチー
10. シアワセ/aiko

司会者「顔ぶれ的には今とあんまり変わってないような気がしますね。何か印象的なことがあれば」

レジー「この年はくるりの「ワルツを踊れ」絡みの活動ですかねえ。アルバムツアーとパシフィコのオーケストラとやったコンサートに行きましたが感激しました」

司会者「あのライブは素晴らしかったですね」



レジー「で、こういう個人的なやつを見るとあー結構いい曲あったよねって感じでしかないんですが、もうちょっと大きい視点で見ると確かに2007年は意味のある年だったんじゃないかなあというのが今回のざっくりとした結論です。まずはオリコンの年間チャートから話をしたいんですけど」

1.千の風になって 秋川雅史 1,115,499
2.Flavor Of Life 宇多田ヒカル 644,259
3.蕾(つぼみ) コブクロ 441,799
4.Love so sweet 嵐 429,832
5.Keep the faith KAT-TUN 404,339
6.喜びの歌 KAT-TUN 371,628
7.明日晴れるかな 桑田佳祐 359,326
8.旅立ちの唄 Mr.Children 354,851
9.関風ファイティング 関ジャニ∞ 341,007
10.weeeek NEWS 333,856


司会者「「千の風になって」ね」

レジー「まずぱっと見てわかることとして、ミリオンは秋川さんだけ。ポップスのミリオンセラーがないですよね。この傾向は2004年年間1位の平井堅「瞳をとじて」が100万枚を割ってからの流れでもあります」

司会者「05年もなし、06年はKAT-TUNのデビューシングル「REAL FACE」がかろうじて100万枚越え。で、07もなしと。05年から06年をまたいで修二と彰の「青春アミーゴ」が100万枚以上売ってる感じではありますが」

レジー「この「ミリオンがない」流れはAKBが爆発するまで続くわけですが。で、「千の風になって」を除くとこの年最もCDが売れた宇多田ヒカル「Flavor Of Life」が60万枚強。その一方で、配信が700万以上のダウンロードという当時の記録を作っています」

司会者「リリース形態がこれまでの「パッケージ」から解放されていく端緒と言えますね」

レジー「そうですね。そういう動きを踏まえたうえで、今度はジャニーズの動向について見てみたいと思います。2000年以降のシングル年間トップ10に入っているジャニーズ関連の楽曲数を並べてみるとこんな感じです。ちなみにカッコ内は修二と彰みたいな企画ものを除いた楽曲数です。あと元データはMUSICAのゼロ年代総括号に載っていたオリコンチャートとオリコンのサイトの情報です」

2000年 1 (1)
2001年 1 (1)
2002年 0 (0)
2003年 1 (1)
2004年 0 (0)
2005年 3 (1)
2006年 4 (3)
2007年 5 (5)
2008年 5 (5)
2009年 7 (7)
2010年 6 (6)
2011年 3 (3)
2012年 2 (2)


司会者「占有率上昇の兆しは2006年からあったともとれますが、2007年に半分を占めるようになったわけですね」

レジー「「CDそのものを買わなくても音楽を入手できる」という状況になる中で、パッケージが「グッズ」としての意味合いを持つジャニーズの力が相対的に大きくなっていくと。で、同様の理屈でCDを売っているAKB関連の力が強くなるにつれてランクインする曲数が減っていきます」

司会者「この中の内訳で見ると、2007年に初めて嵐がランクインしてますね」

レジー「うん。今の盤石なポジションを築くスタートとなったのがこの年と言えるんじゃないかと思います。こんな感じで「音楽がパッケージメディアから解放され、「音楽を聴くため」以外の動機づけでCDを買う層が目立ち始める」という傾向がはっきり顕在化してきたのが2007年かなと。この辺は柴さんの言っているウェブ関連のサービスの勃興と表裏の関係にあるんじゃないかと思います」

司会者「「AKBなんてCDじゃなくて握手券売ってるだけ(ドヤァ)」みたいな批判がありますけど、別に新しい話でもなくて結局この時の流れの延長線上なんですよね」

レジー「そうそう。その辺の歴史的経緯を踏まえず表面的にAKB叩いたって仕方ないんだよ。で、ここまで述べたような年間チャートに見えてきてる話題以外にも、この年には今のシーンにつながるトピックが2つあるなあと思っていて。Perfumeの話とロックシーンの話です」

司会者「1つ目のPerfumeについては、2007年9月に「ポリリズム」がリリースされてます。ここでブレイクしたわけですが、Perfume好きになったのもこのあたりからですよね」

レジー「なんか名前はちょこちょこ聞いてたけど全然スルーしてて、ACのCMで見てなんだこれはと。そこから過去の曲遡ってどんどんはまりました」

司会者「ミュージシャンの評価とウェブ上のマッシュアップで人気が醸成されてマスの力で大ブレイク、しかも楽曲は本格的ってストーリーは何となく今時っぽいですよね」

レジー「そういう経緯の中で今までアイドルというものに関与のなかった人たちもはまると。これは僕も含めてですが」

司会者「Perfumeを通じてアイドルの洗礼を受けたって人はこのタイミングで音楽聴いてた人たちで結構いますよね」

レジー「うん。そういう人たちが今のアイドルシーンを支えている部分もあると思うんだよね。女性アイドルが相当マイナーな場所に置かれていた時代に市民権を取り戻したのが彼女たちであると。それだけではなくて、たぶん今までも「アイドル」というジャンルが潜在的に持っていた「サブカル」的な要素をわかりやすく呈示した存在でもあります。ロックフェスに出たりとかしてね」

司会者「Pefumeのやり方は今のアイドルに結構意識されてますよね」

レジー「ももクロもある意味構造は一緒だと思うし、楽曲にこだわってる人たちも参考にしてるのは間違いないよね。ただそこをトレースするだけではブレイクできないって話もあって、そこについては以前も書いたので良かったら参考にしてみてください。というわけで、2007年のPerfumeのブレイクというのは今の活況を呈しているアイドルシーンの源流になっているのではないかという話。これが1つ目です」

司会者「なるほど。ではもう1つの動き、ロックシーンに関しては」

レジー「ここに関してはMUSICAのゼロ年代総括号から引用します」



マキシマムザホルモン(『ぶっ生き返す』がオリコン5位)に9ミリ・パラべラム・バレット(『Termination』が10位)、凛として時雨(渋谷AXのワンマン完売)という、ハードでヘヴィメタリックな音像とこの国のポップソングをラジカルに掛け合わせたエキセントリックな音像でもって、2008年以降の邦楽ロックの勢力図を書き換えていくバンド達が台頭した。

司会者「こういう感じのバンドが見えてきたのが2007年なんですね」

レジー「個人的にはこの3つのバンドのどれにも乗れなくてシーンの流れがちょっとわからなくなりました。で、こういう動きの一方でミスチルの「HOME」がオリコン年間1位になっているわけで、新世代の台頭とは関係なく大復活を遂げていると」

司会者「復活って、ミスチルずっと売れてるじゃないですか」

レジー「もちろんそうなんですけど、印象としては「HOME」あたりからミスチルに対する求心力がぐっと増してる気がするんですよね。あのアルバムが大傑作だったってのもあるけど、それ以上にシーン全体の動きが影響している気がしていて。さっき挙げたバンドとか、ロックフェスとか、日本のロックの主流が一気に「スポーティー」な方向に舵が切られていく中で、改めて歌に向き合うっていうスタンスで作った「HOME」というアルバムが広く評価されたんだと思うんですよ。僕この年の日産スタジアムのライブに行ったんだけど、ある意味フェスよりもよっぽど一体感がありました」

司会者「あれだけヒット曲連発すればねえ」

レジー「こういうフレームで見ると、ホルモン9ミリ時雨みたいな流れは「邦ロック」「ロキノン系」的なタコツボ化した流れにつながっていくし、去年ミスチルのベストがあれだけ売れたのも2007年ころから生まれた「いろいろ細分化してく中で結局一番安心できるのがミスチル」、もっと言うと「他がよくわかんないからミスチル」みたいな空気があればこそだと思うんですよ。こんな感じで、ロックシーンにおける「タコツボ化と大御所」っていう流れが顕著に出てきたのが2007年なのではないか、というのが2つ目の話です」

司会者「わかりました。長くなってきたのでそろそろまとめようと思うのですが、ここまであげてきた2007年という時代の動きをまとめるとこんな感じです」

・音楽のパッケージからの解放
・CD市場におけるジャニーズの相対的地位向上
・Perfumeのブレイクによる女性アイドル復権の萌芽
・ロックシーンのタコツボ化とその反動としての大御所回帰


レジー「こうやって見ると、2012年の音楽マーケットの状況を準備したのが2007年だと言えるよね。「グッズとしてのCD」というビジネスを徹底的に追求してもはや誰も追いつけないポジションを確保したAKB、いろんな人を巻き込んだ女性アイドルブーム、特定世代のコードで消費される若手ロックバンドとベスト盤が売れる超大御所」

司会者「2012年のAKB関連+ジャニーズで占められた年間チャートが話題になりましたけど、こうなる準備は実は2007年に完了していたと」

レジー「うん。新時代を告げるサービスが次々に生まれていたのとは別のところで、「日本におけるポップミュージックという概念の壊死」が始まったのが2007年。で、2012年にそれが完遂されたと。冒頭に紹介した柴さんのブログにこんなことが書かれてるんですけど」

あの当時、僕は音楽雑誌の編集者で、眉をひそめて「きっとこの先、音楽に金を払う人間は、どんどんいなくなっていく」なんて書いてた。僕だけじゃない。あの当時に業界にいた人間は、あのころの悲観的なトーンをきっと覚えているはずだ。でも、2007年は、実際は「終わりの始まり」ではなく「始まり」の年だった。

司会者「そうは言っても、実際に表出していたのはやっぱり「終わりの始まり」だったんですね。で、2012年に完全に終わったと」

レジー「少なくとも「従来型のポップミュージック」というものに関してはそうだったんだと思います。そう考えると、2013年からは「既存の秩序が死んだ中で、新しいゲームのルールが生まれるかどうか」というフェーズになりますね。改めて「世の中全体を巻き込んだ」みたいな話があるのか、単純に世代間で分断されてダイナミズムのない文化になるのか、今までとは異なる形で連帯した「シーン」が生まれるのか」

司会者「相当シビアな反面チャンスもある時代なんでしょうね」

レジー「ネガティブになろうと思えばいくらでもなれるけど、今までにないものが生まれる瞬間に立ち得るのかもしれない。ただ、今の時代のそういうものは「わかりやすく提示されるもの」でもないような気がするので、リスナーとしてもアンテナをしっかり立てて新しい動きに反応できればなと思っています」

司会者「わかりました。今回はこのあたりで。次回はどうしますか」

レジー「うーんどうしようかな。いくつか積み残しがあるのでちょっと考えます」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
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