レジーのブログ(旧)

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『OTONARI』と柴那典さんインタビューから考える「音楽」と「仕事」の話

レジー「『OTONARI』を買いました」



司会者「鹿野さんがやってる音楽ジャーナリスト学校の音小屋から発行された雑誌ですね」

レジー「もうこれ時効だから言っていいと思うんだけど、僕申し込んでたんですよ音小屋。あえなく落ちましたけど」

司会者「へえ」

レジー「でもこれ中身見たけど、普通に仕事しながら片手間でやりましょうってレベルの内容じゃないよね。そういう意味では受からなくて良かったのかも」

司会者「もし受かってたら、講義に参加してる最中に例の年末の対談を読むことになりましたね」

レジー「そうそう。そういう意味でも受からなくて良かった。腹立ってそれどころじゃなくなってたと思う。改めて提出書類見てみたけど、好きなアーティストでPerfumeとトマパイとか書いてたからね。受かるわけないっつーの」

司会者「名指しで面白くないものとしてあげられてましたからね」

レジー「ね。まあその辺の話はもういいや。雑誌の中身についてやりたいんですけど」

司会者「リリースプロモーションとしてのインタビューではなくて特集ありきで、ってのが売りとして打ち出されています」

レジー「僕が面白いなあと思ったのは、結構金の話をしてるところですね」

司会者「普通の音楽雑誌だとなかなか出てこない話ですよね」

レジー「うん。その辺は「プロではない人」が相手であるがゆえにミュージシャン側もそういうことを喋りやすかったのかなとか思ったんですけど。たとえばこんな感じで」

メンバーが普段どんだけ稼いでるか知ったらみんなびっくりすると思うよ。きっとミュージシャンになりたいなんて思わない。でも、プロである以上それで食っていかないといけない。
(くるり 岸田繁)

聞いた話ではかなり有名なバンドでもメンバーのお給料は月給10万円だとかって、そんなの話になんないじゃないですか。
(快速東京 一ノ瀬雄太)

司会者「生々しい」

レジー「で、その生々しい部分に徹底的にフォーカスした「WORKING MUSICIAN 働くバンドマンのリアル」って特集があったんですけど、これが一番面白かったな。さっきの一ノ瀬さんの発言もこの特集の中で出てきたものです」

司会者「一ノ瀬さん以外にもATATAの奈部川さん、LITEの井澤さん、0.8秒と衝撃。の塔山さんの4人が音楽とその他の仕事にどのような気持ちで取り組んでいるか、インタビューに答えています」

レジー「なんか「バイトしながら音楽って大変だよね」とか「下積み時代って感じかな」とか漠然としたイメージはあったんだけど、あーこういうこと考えてやってるんだーって発見はすごいあったね。実はどのバンドもあんまり馴染みがないんですが」

司会者「四者四様の考え方でしたね」

音楽は僕にとって、お金を稼ぐものじゃなくてお金を使うものなんですよね。「音楽をガチでやってくぜ!」みたいな人とは根本的に違うんです。
(快速東京 一ノ瀬雄太/グラフィックデザイナー)

たとえば音楽で飯食ってたらさ、自分達の音楽活動なのに自分達以外にもいろんな人が絡んじゃう。それでご飯食べてる人たちがね。それこそ、音楽が「仕事」になっちゃう。そういう縛られた活動をしなきゃいけないってのは辛いよね。
(ATATA 奈部川光義/介護職)

俺も音楽だけで生きていきたいからねえ。だから音楽だけで生きていける状態になったら「やっとバイト辞めれます!」って公の場で言ってやりたい!それこそツイッターとかでね。言いたい!
(LITE 井澤惇/ラーメン店アルバイト)

でも「結局音楽だけやってたら食われへん。バンド潰れるで!」って状況になってくると、音楽に触られたくないからたぶん働くんですよ。仕事というよりは自分がやりたいことを守るための武器だと思うんですよね。
(0.8秒と衝撃。 塔山忠臣/肉体労働)


レジー「この辺結構デリケートな話だし、こういうインタビューが商業媒体として世の中に出てきたってのは結構重要だと思うわ。LITEの井澤さんにバイトも含めて密着とか割と画期的なんじゃないか」

司会者「この特集についてはライターの石井恵梨子さんもこんな反応をされてました」




レジー「ほんとそうね。儲からないとか斜陽産業とか言われてる音楽業界を考えるうえではこういうアングルは必要だと思う」

司会者「音楽業界で働こうとは思ったことはないんですか」

レジー「さすがにミュージシャンになろうとは思わなかったけど、音楽関連の仕事に就きたいとは思ってましたよ。ちょうどこの前OB訪問受けた時にそんなこと思い出してたんですけど」










司会者「ロッキングオンもダメだったんですね」

レジー「何となくESに書いた文章のテーマ覚えてるんだけど、そりゃ受からんわってクオリティだった気がするね。で、今は音楽とは何ら関係のない仕事をしています」

司会者「仕事上で何かしら音楽との接点はありましたか」

レジー「ブランドマネジメントの仕事が長かったので、CMの音楽に自分のアイデアが採用されたこととかはありますよ。それ絡みでコンサート招待してもらったとか」

司会者「完全にクライアントとして、って感じですね」

レジー「うん。で、今回『OTONARI』で別の仕事も持ってるミュージシャンの話を読んで、じゃあミュージシャンではなくて音楽を伝える側の人って何考えてるのかなあと思ったんですよ。というわけで、今回はたびたびお世話になっている柴那典さんにご協力いただいて、「フリーの音楽ライターとして働くこと」についてメールベースでインタビューしてみました」

司会者「柴さんほんとにありがとうございました」

レジー「このブログ読んでくださってる方に結構大学生がいるような雰囲気なんだけど、そういう方々にとっては就活のこととか考えるうえでも参考になるテキストかなと。それではお楽しみください」


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--- 柴さんは1999年にロッキング・オン社に入社されていますが、音楽に対して「リスナー=受信者」ではなく「メジャー音楽メディア=発信者」として関わりたいと思ったきっかけは何ですか。

「音楽について語りたい」と最初に思ったきっかけは、おそらく高校の時だと思います。中高一貫の男子校に通っていたんですけど、当時はゴリゴリのメタル少年で。『ロッキング・オン』よりはむしろ『BURRN!』を愛読してました。で、友達数人と文化祭のときにメタル同人誌を作ってたんですよ。その名も「鋼鉄春秋」。最近、友達とウチで飲んでて『桐島〜』的な文化系思春期トークを開陳しあっていたときに、ふと「まだ捨ててなかったんじゃない?」と思ってクローゼット探したら卒業証書と一緒に出てきました。16歳の自分がキング・クリムゾンについて超熱く語ってたりして、ああ、自分の原点はここにあるなーって思います。


--- 柴さんのご出身の大学では「いわゆるエリートコース」に進む方も周囲に多数いたのではないかと推測しますが、そのような中で「自分の好きなことをやる」ことに振り切った就職に対して何かしらの葛藤を感じたことはありますか。

これは、葛藤は全然なかったです。僕は京都大学の作曲サークル「吉田音楽製作所」というところに入り浸ってたんですが、そこでは大手企業に就職する人もいるし、官僚や弁護士になって毎年フジロックに来る人もいるし、ゲーム会社や楽器メーカーみたいな「音楽の趣味と隣り合う仕事」につく人もいるし、僕のようにメディアを目指す人もいるし、不定期の仕事をやりながらバンドを続ける人もいるし、ニートもいる、みたいなところで。先輩や友達に恵まれたのかなって思います。


--- 音楽が「仕事」になる、つまり「趣味」だった音楽に「お金」が介在するようになって、自分の中で音楽の聴き方に何か変化はありましたか。良い変化/悪い変化それぞれあれば。

聴く量が増えたとか、無責任なこと言えなくなったとか、いろいろありますけど、本質的には16歳の頃と変わってない気がします。


--- 2004年にロッキング・オン社を退社されてフリーとして活動し始めて、仕事に対する意識が変わった部分はありますか。柴さんのいろいろなジャンルでの活動を見るにつけ、音楽に限らず様々な領域の方と絡んでいるのが「“後ろ盾がない不安定さ”を“何でもできる自由さ”と捉えなおして仕事をしている」ような印象を受けるのですが。

なんだかそう捉えていただけると嬉しいです。フリーになった当初は、まさに無我夢中で「とにかくなんでもやります!」という感じでした。で、そういう中で縁があって仕事させていただいた雑誌で、メーカーや商社の、いわゆるサラリーマンの方に自分の担当した製品やプロジェクトについて語ってもらうインタヴューを担当したことがあって。やってみて、これはミュージシャンに完成したアルバムについて話を訊くのと同じスタンスとアプローチの仕事なんだなと感じて、そこで意識が変わったところはあります。僕のやることは基本的に「人が心をこめて作ったものについて、そこにある思いを引き出す」仕事だな、と。


--- 1999年と今を比較すると、音楽業界そのもののプレゼンスがかなり弱くなっている一方で、インターネットの浸透によって「発信する」ことに対するコストが大幅に下がっています。もしも「音楽が大好きな大学生の柴那典」が今の時代にいたとしたら、やはり音楽メディア(もしくは広義の音楽業界)への就職を志しますか。それとも、何か別の道を探りますか。

この質問は難しい……。なんとなく、もし今自分が大学生だったらLINE(NHN Japan)とかDeNAが第一志望だったんじゃないかなーって思います。


--- 「LINEやDeNAが第一志望」というのは「音楽そのものを伝えるよりもコミュニケーションプラットフォームに関心を持ちそう(その中で音楽をどう扱うかということについて考えた方が面白そう)」というイメージでしょうか。

そんな感じです。あとは、実質的にユーザー発信の音楽メディアとしても機能してる「naverまとめ」とか音楽配信サービスの新しい形になりそうな「Groovy」が面白そうなので、あれを作った人と一緒に仕事がしてみたい、というのもあります。


--- ミュージシャンサイドでも、商業ベースの作品リリースとフリー音源の発表を並行して行う人が出てきています。それと同様に、商業媒体での活動と合わせてブログも定期的に更新されている柴さんですが、それぞれの「発信したいメッセージの質」や「発信の方法」について意識的に分けている(もしくは分けていない)部分があれば教えてください。

たしかに、「商業ベースで活動しているミュージシャンも、どんどんYouTubeとかSoundcloudに音源アップしちゃえばいいのに」と思っていながら、自分はライターとしてそうしてなかった、と気付いたのが2011年くらいのことで。そこからはブログには「身辺雑記」や「お仕事報告」ではなく、「記事」を書くよう意識するようになりました。


--- 今回の記事で取り上げている『OTONARI』に関わっている方々もそうだと思いますが、「音楽を発信する側に回りたい/音楽ライターになりたい」という若い人は今でもそれなりのボリュームで存在するのではと思います。最後に、そのような人たちに対して「今の時代に音楽ライターになること」についてのメッセージをいただければと思います。

僕も何回か「音楽ライターになるにはどうすればいいんでしょうか」という質問を受けたことがあります。そういうときは、たいてい「名刺を作ってtwitterのプロフィール欄に“音楽ライター”と書けばなれる」って答えることにしてます。無責任に思われるかもしれないですが、本当にそういう時代だと思います。もちろん、それで食っていけるかどうかは別問題です。

あと、これは質問の回答からズレるかもしれないですが、僕自身や僕の周囲を見回しても「音楽ライター」という職種が、くっきりとそれだけ独立して成立しているような感じはなくなってきているように思います。編集者、ウェブディレクター、プロモーションプランナー、イベンター、USTREAMやニコ生のトーク司会などなど、「音楽について書くこと」以外の仕事を当たり前にこなしている人が多い実感があります。ざっくりとわけると、「メディア(枠組み)を作ること」、「コンテンツ(中身)を作ること」、「評判を作ること」に仕事領域が広がっていて、そこでいろんなタイプの人がそれぞれの得意分野で働いているというか。『ワーク・シフト』で言うところの“連続スペシャリスト”が増えてきているのではないか、と思います。


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司会者「何か感想があれば」

レジー「僕が印象的だったのは最後の質問ですね。音楽ライターには誰でもなれるけど、食っていけるかは別と。で、結局何とかして生きていかないといけないわけで、じゃあその「食っていける」ために何をするのかってところですよね。柴さんが言うような比較的近い領域の仕事への広がりもあるだろうし、もしかしたら「好きではない仕事」をやらないといけないかもしれない」

司会者「とりあえず生活していかないといけないですからね」

レジー「そうそう。で、このまままとめに入っていきたいんですけど。よく「好きなことを仕事にして自己実現!」とか「本当に好きなことを仕事にするのはつらい」とか両極端な話が出てきますけど、今回『OTONARI』読んだり柴さんの話聞いたりして、「本当に好きなことをするために別の仕事を持つ→その中で、本当に好きなことを純度高くやれる環境を作る→場合によってはそれがお金を生むこともある」みたいな話って意外と語られてないなあと改めて思いました」

司会者「インターネットのおかげでやろうと思えばいろんなことができますよね」

レジー「うん。で、その実践としての告知を一つさせてください。このブログきっかけで、来週4月12日に出るクイックジャパンに僕が書いたパスピエのディスクレビューが掲載されることになりました。仕事しながらでも発信を続けてるとこんな展開があるわけですよ」



司会者「何でもやってみるもんですね。思いつきで始めたブログがこういうことになるとは」

レジー「ありがたい話です。勝手がわからずなかなか難しかったけど、ぜひ皆様読んでみてください」

司会者「では告知も済んだところで、今回はこの辺で終わりましょう」

レジー「次回ネタも未定でお願いします」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
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