レジーのブログ(旧)

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THE NOVEMBERS 小林祐介インタビュー(前編) ニューアルバム『zeitgeist』とそこに息づく哲学

司会者「土曜日こんなツイートがされていましたね」




レジー「はい。というわけで、今回と次回の2回にわたって、THE NOVEMBERSの小林祐介さんのインタビューをお届けします」

司会者「THE NOVEMBERS は11月30日に新しいアルバム『zeitgeist』をリリースします」

レジー「インタビュー自体は10月末に実施したのですが、このアルバムのインタビューとしては最初に行ったものです。作品の話はもちろん、今の音楽シーンについてだったり小林さんのルーツについてだったり、いろいろとお話ししてきました」

司会者「前編となる今回は、主に新譜『zeitgeist』の楽曲について、さらにはその背景にある思想に関してお話しいただいています」

レジー「THE NOVEMBERSに関与のない方にも面白いインタビューになっていると思いますのでぜひ。それではどうぞ」

----------

---本題に入る前に、小林さんはラルクがとても好きとお聞きしまして。

「はい」

---僕が人生で初めて行ったライブがラルクなんですよ。96年の武道館で、『flower』が出る直前でした。中学3年生の時。

「ああ!sakuraさんがいたとき」

---そうですそうです。そこで『flower』が初披露されて。

「じゃあhydeさんがオレンジ髪のおかっぱみたいなときで」

---たぶんそうだったと思います(笑)。

「毛皮着てましたよね」

---さすがです(笑)。あとでそんな話もしたいなと思ってます。では早速新しいアルバム『zeitgeist』についてお話を伺いたいと思うのですが、レーベルから独立して一作目のアルバムですね。

「はい。『zeitgeist』を作っている過程で独立が決まりまして」

---ああ、そうなんですね。

「今年の5月くらいからレコーディングが始まって、夏くらいに独立することが決まって。なので、「独立する」ということに向けて楽曲制作がどうこうというのは特になかったんですが、歌詞にはそういう状況が現れていたのかなと思います」

---特別な手応えみたいなものはありますか。

「THE NOVEMBERSの歴史の中でも一番「焦点が合った作品」が作れたかなという自負はあります。道徳的なものや倫理的なもの、そういうテーマを追求できたかなと。具体的には、世の中に対して----たとえば音楽シーンに対して、自分を取り巻く環境に対して、それこそ今の時代に対して、否定するというのではなくて「こういう価値観もあるよ」という投げかけであったり、疑うことなく漫然とルーティンとしてやってきたことを一呼吸置いて考えた方がいいんじゃないかっていう問いかけであったり」

---『GIFT』と『Fourth wall』でそれぞれ音楽的に両極に振ったような作品をリリースしたことで今回ど真ん中に行けたというような意識は小林さんの中にはありますか?

「はい、あの2作品があったからこそこの作品を作れたというのはあると思います。『GIFT』と『Fourth wall』については、自分なりの知的好奇心みたいなものをテーマにある意味では実験的に作ったんですけど、『zeitgeist』はあの2作品のまとめというか」

---先ほど歌詞には独立など自分たちを取り巻く環境の変化からくるものが反映されているというお話もあったかと思いますが、いただいた歌詞を見ながら今回のアルバムを聴いていると、言葉が自分の中にぐさぐさ入ってくるような感じがあって。特に気になったのが、何度か出てくる「選ぶか選ばないか選べ」ってフレーズなんですけど。さっきも小林さんがおっしゃっていた「何でも漫然とルーティンでやっていくことへの問いかけ」みたいな意識が集約されている言葉かなと思ったのですが、この歌詞に行きあたったきっかけというか問題意識について教えてください。

「震災以降というとちょっとありきたりですが、それくらいの頃に自分の中で芽生えた考え方です。「何かになりたい」と言うときに「自分自身である」っていう前提を置かないままになりたいものを選んでしまうとか、「自分の今の足元はここだ」っていう前提のない人はどこかに行ったとしてもどこにも行ったことにならないんじゃないかとか、そんな意味を込めています。自分以外の人生を選ぶということはできないわけで、生きていく中で「自分自身を選び取るのか」「自分自身すら選び取らないで何にもならないのか」ということを選ばざるを得ないということを言えればなと」

---やはり震災の影響は大きかったですか。

「そうですね。まさに自分が「疑わなかっただけのふわふわした状態」で生きてきたんだなってのを意識したというか。震災前は「疑っていないという状態」にとどまっていたので、イコール「信じるという行為」に及べなかった。今はありとあらゆるものを疑った後だからこそようやく何を信じるか選べるようになったなと思いますし、そうすることが豊かさにつながるという実感があるからこそこういう歌詞が出てくるようになりました」

---トレイラーでも使われている『Louder Than War (2019)』も、前提のない中で怒っている人たちに「ほんとに怒ってるの?」という問いかけのように思えたんですが。



「そうですね、皮肉というか、何て言ったらいいんだろう・・・あの、感情の赴くままに決行することって実にたやすいけど、その点拳の下ろしどころがわからなくなっちゃうのが問題だと思っていて。特に今の時代はみんなが振り上げた拳の下ろしどころを探している気がして」

---ほんと今はそんな感じになってますよね。

「「キレる」って言葉にも同じような感情を持っていて。僕はこの表現にあまり実感がわかなかったというか、「キレた人」ってのをあんまり見たことがない気がする。昔からなんですけど、たとえばクラスメイトの誰かが「キレた」って言っていたとして、その「キレた」状態で怖い大人たちがたくさんいるところに放り込んでみたいって思うことがあって」

---(笑)。

「「俺はキレた!」っていう人に対して、じゃあTPOを選ばずにめちゃくちゃにやるお前を見せてくれ!って思うんですけど、ちょっと怖い先生が現れるとしゅんとなっちゃうというか。じゃあ「キレる」って何なんだろうって。「狂いたい」とか「変になりたい」とかって願望はみんなあると思うんですけど、なんだかんだ相手と場所を選んでるんだなあという寒さというか。それを越えちゃった人は奇人扱いされるわけで」

---はいはい。

「僕はの子くん(神聖かまってちゃん)のことが好きなんですけど、そのきっかけって、「ちゃんとしてる」って思ったことなんですよ。最初はおもしろさとか、怖いもの見たさで惹かれたんですけど、ステージ上で言ったことと真逆のことを楽屋でしていたり。それについて僕は全然嫌な気持ちはしなくて、逆に自分のやることをまっとうしている、つまり「キレている」ってことをお客さんの前で実行しているように思えて好きになりました。の子くんは、「俺はステージにはこういうモードで立つんだ」ってのを選び取ってるんだと思うんですよ。普段からおかしい人がそのままステージに立ったって、それは普段と一緒なんだから、あくまで「芸」としてはそれにお金払う必要ないですよね。まあ、面白かったらどちらでもいいんですけど」

---「選ぶか選ばないか選べ」ってのはすごく主体的な態度を相手に要求していると思うんですが、一方でこのアルバムには異なる価値観も同居しているように感じています。それは何かと言うと、主体的に選ばなくても「どうせみんな生きていくよ」「簡単には死なないよ」というメッセージもこめられているのかなと。たとえば「生きているのを忘れていても その心臓は止まったりしない(『Wire (Fahrenheit 154)』)」「彼を終わらせるものは 平板で単調で無個性な死だけ 苦悩でも悲哀でも不条理でも憎悪でもない(『Meursault』)」みたいな、別に選ばなくても何も終わらないんだっていう。この2つの考え方は、小林さんの中では矛盾しないものなんですか。

「「生きる」ということを「行為」としてとらえるのか「状態」として捉えるのか、という違いだと思います。たとえば「悲しみで死にそうになる」っていうある種ドラマチックな考え方だったり、「生きる意志さえあれば生きられる」っていう楽観的な考え方、もしくはその逆で「生きる意志を失ったら死ぬ」とか。もちろん「病は気から」っていうのは一理あるとは思うんですけど、気持ちだけで生きたり死んだりしたら人類半分以上いなくなってるんじゃないかと思って。心臓は自分が動かそうと思っているから動いているのではなくて、意志がなくても勝手に動いているという「状態」であって、それをどう豊かにするか、そのために何をするか、どうやって/何のために生きるかという「行為」に自分の意志が反映されていくのだと思います」

---なるほど。

「あと、一方で少し矛盾しているかもしれませんが、「何のために生きるか」と同じくらい「何に生きて何に死んでいくか」っていうことも価値のあることだと思っていて。自分はこのためだったら死ねると言って実際に死んでいく人がいたとして、それは「何に生きたか」っていうことを裏付けるものだったりもするので、「死」そのものが貧しい・欠落であるとはそんなに思わないんです。「自分は○○のために死にたい」って言って目を輝かせている人にそれは貧しいことだからやめろとは絶対に言えない」

---世の中的に「死」という概念は向こうに追いやられている、あまり考えるべきではないものとして扱われている感じはありますね。

「大切な人と会えなくなるからさびしいとか、おいしいものを食べられなくなるのは嫌だなとか、そういうのは確かにあるとは思うんですけど。幸せの絶頂にいる時に「今だったら死んでもいいと思える瞬間」って、僕はまだ味わったことないんですけど、もしそういうものがあったとしたら死ぬのにもってこいだとも思っちゃうんですよね」

---その辺の死生観の話も震災の後で変わったりはしてるんですか。

「そうですね、生きる/死ぬってことについてはずっと思考停止状態だったので」

---考えないですよね。僕も地震の後になってから、「あ、人っていつか死ぬんだな」ってことを日常的に考えるようになりました。

「僕の場合は震災以前の半年間で身近な人が亡くなることが度重なって、震災でノックアウトされたっていう部分があります」

---ここまでお話しされていた「死」と「生」が隣り合っている感じがアルバム全体に通底していると思うのですが、そういうシリアスなトーンが前面に出てきているのがアルバムの8曲目くらいまでで、その後のラスト2曲『Ceremony』『Flower of life』になると、一転して世界が開かれていくような印象を受けました。個人的にはアルバムを通して聴いていて最後2曲になるとすごく安心した気持ちになったんですけど、ラストで明るく終わっていくという構成は意識していた部分はありますか。





「そうですね、意識はしてます。アルバムを聴き終わった時に、何かしらの「豊かさ」が伝わるような仕掛けとして今回はこういう構成にしていますし、今後の作品でもきっとそういうことを考えていくと思います。問題提起とか問いかけとか皮肉とかいろいろ言っても、最後に何かしらの「答え」を用意しておくのが重要だなと。ラストの2曲は自分たちに対してもそうだし、未来とか子供とかそういうものに対して衒いなく素直に歌いました」

---まさに「子」という言葉が歌詞に登場することで、未来につながるイメージが強く伝わるなあと思いました。それと、『Ceremony』の「これでよかったんだ」っていう言葉が、最初に聴いたときからすごく印象に残っていて。『Ceremony』の前の曲あたりまでは聴いてて緊張感を強いられるというか、力を入れて聴く感じだったのが、あそこでああいう音とああいうメッセージが来ると、救われるというか気持ちが解放されていくような感じになったので、作品としてすごく良い終わり方だなと思いました。

「ああ、ありがとうございます」

---『Ceremony』っていう言葉なんですが、過去曲をやるイベントでもタイトルとして使われていますよね。ブログでも「ニューオーダーの曲のタイトルで」と書かれてたと思うんですが。

「はい」

---違ってたら申し訳ないんですけど、最後の『Flower of life』とニューオーダーの『Ceremony』の雰囲気が似ているような気がして。



「あー、はいはい」

---最後の曲に「ニューオーダーの始まりの曲」と似た雰囲気の曲を配置することで、ここからバンドが新しく変わっていくとか、この先新しいものが続いていくとか、そんなストーリーを勝手に妄想してたんですけど・・・(笑)。その辺どうですかね。

「ニューオーダーってところまでは考えてなかったんですけど、新しく物事が始まるとかバンドが歩いていくってのを示唆的に表しているのはおっしゃる通りです。そこまで感じていただけるとありがたいです(笑)」

---良かったです(笑)。

「『Flower of life』と『Ceremony』の曲順が逆のパターンっていうのもメンバーの中では議論として出たんですけど」

---あー、なるほど。

「『Ceremony』が終わりだとただ完結させるだけに過ぎないので、『Flower of life』が最後で、映画でいうとエンドロールで登場人物が駆け出して行って終わるみたいな(笑)、そんな感じになればいいなと」

---『Ceremony』で一区切りあって、最後に『Flower of life』があるのがちょっと後日談ぽくてかつ前向きな感じもするのがいいなと思いました。ニューオーダーと関連した話だと、ブログに書かれていた「レーベルが作るモノの品番1がポスター」っていうのがファクトリーを意識してたりとか、そのあたりのネタが盛り込まれているのが面白いですね。

「ありがとうございます、いろんな人にお会いしてるんですが初めて言及していただけました(笑)」

----------

司会者「前編はここまでです」

レジー「次回はこのアルバムの話から派生して、小林さんから見た最近のシーンについて、そういう中でTHE NOVEMBERSがどういうスタンスでどういう音を鳴らしていくか、ということについて掘り下げています。引き続きよろしくお願いいたします」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

レジー「と言いつつではありますが、次回更新は22日の予定です。それまでしばしお待ちください」
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